安全運転 ― そのためには
安全運転 ― そのためには
多くの人の生活に車の運転は欠かせません。とはいえ,運転には危険が伴います。世界全体で,年間推定120万人以上が交通事故で命を落としています。ですから,少し時間を取って安全運転のコツを学ぶのは大切です。幾つか考えてみましょう。
✔自分を点検
「オーストラリア社会問題ジャーナル」のレポートによると,死亡事故のリスクを減らすためにドライバーが行なえる対策の第一は,自分自身のコンディションを整えることです。出かける前に,『今の体調や気分で安全に運転できるだろうか』とチェックしてみるのは良いことです。疲労していると,頭も体も反応が鈍ります。フィリピン陸運局によれば,怒り,心配,動揺といった感情は運転に影響し,判断を誤らせたり,いらいらを高じさせたりします。
体のコンディションも考えなければなりません。病気や怪我のために安全運転の能力が損なわれることがあります。他の人の命を重んじるドライバーは,飲酒運転という危険を冒したりはしません。正常に運転できないおそれがあるからです。薬剤も反応速度に影響を及ぼしかねません。車での外出を控えるか,だれかに運転を代わってもらうのは思慮深いことです。
✔運転の仕方を点検
たくさんの車が走っています。みんなが腕の良いベテランドライバーというわけではありません。ですから,事故を防ぐために次の二つの点を意識しましょう。
防衛運転をする。注意を怠らず,前と後ろの危険を見落とさず,他の車の動きを予測します。とんでもない動きをする車があるかもしれません。衝突事故は車間距離の詰めすぎで起きることが多いので,他の車との安全距離を保つことは大切です。
死角と注意散漫に用心する。ミラーだけに頼らず,頭を動かして周りを確認します。運転から気を散らさないようにしましょう。同時に幾つものことをしてはなりません。携帯電話で話したりオーディオ類を操作したりすると,注意がそらされます。
二輪車に乗るときには: 二輪車の場合,走行距離あたりの死亡率が四輪車の37倍に達する,と言われています。身を守るために何ができるでしょうか。先ほどの二つの点は二輪車にも当てはまります。さらに,米国のモーターサイクル・セーフティー財団はこんなアドバイスをしています。「目立つようにする」。他の車からよく見えるようにする,ということです。ヘッドライトをつけ,他の車の死角に入らないようにします。「安全を意識した服装」。ヘルメットをかぶり,体を保護する厚手で明るい色の服を着用しましょう。「細心の注意を払って防衛運転をする」。他の車から見えていないかもしれないことを考えに入れて運転します。
✔車を点検
ドライバーだけでなく,車のコンディションも大切です。ブレーキをきちんと整備しておきます。他の可動部品も同様です。タイヤの溝の深さが十分であれば,スリップやハイドロプレーニングが起きにくくなります。タイヤの空気圧が適正であれば,ハンドルやブレーキの利きが良くなります。車にシートベルトが装備されていても,着用しなければ何の役にも立ちません。
状況に応じた運転をしましょう。路面が濡れていると,停止距離やハンドルの利きが変わります。積雪や凍結の場合はなおさらです。夜間走行をするときには,ヘッドライトを点検し,スピードを控えめにします。命は神からの贈り物です。命を守るため,安全運転を心がけましょう。
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燃費を良くするには
■ 滑らかな運転: アクセルを踏み込んではブレーキをかける,ということを繰り返すと,燃料が無駄になります。
■ アイドリングを減らす: 今の車はたいてい,走り出す前の暖機運転は必要ありません。30秒以上停車する時はエンジンを切りましょう。
■ タイヤの空気圧を適正に: きちんと空気の入ったタイヤは転がり抵抗が少なく,燃費が良くなります。
■ スピードは控えめに: スピードを出しすぎると,危険なだけでなく,燃料も余分に消費します。
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❏ 注意を怠らない
❏ シートベルトを着用する
❏ 同時に幾つものことをしない
❏ 気を散らさないようにする
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❏ 死角に用心する
❏ ブレーキをきちんと整備しておく
❏ タイヤの空気圧を適正に
❏ タイヤの溝の深さを確認する
❏ 安全な車間距離を保つ
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❏ 「安全を意識した服装」
❏ 「目立つようにする」
[13ページの図/図版]
❏ ヘッドライトを点検する